コロナ禍の旅 行くか、見送るべきか?
このご時世でスイス旅行、山歩き?・・・ややもすると妬みを買うことすらある、棘も飛んでくる。悲しいかな、これが人の常。
ましてや新型コロナ蔓延下、海外へ出かけて帰国前PCR検査陽性で足止めになって帰国できない場合。そうなったら嘲笑され、叩かれ、バッシングされる。「ざまあみろ」と陰口を叩かれることになる。これが世の常である。
一部報道ではパリで遊んで、跳ねて帰国前PCR検査で陽性となり帰国できない人(帰国困難者)が続出していると聞き及びました。出かけるからには、感染対策を堅持しPCR検査をクリアして無事に戻ってくる、いや戻ってこなければならない。もちろん、存分に楽しんでくることです。こう心に記して旅立ちました。
出発した7月初頭に比べて、帰ってみたら感染者数は10倍+になっていました。(+_+) 記事をアップした時の皆様の反応はどうなんだろうかと複雑な想いでした。(苦笑)
*成田空港発ドバイ行エミレーツ航空B777-300ER
次回からは「スイス山歩記」を掲載するつもりです。今回は旅立つ前に新型コロナ禍下で私が考えていたこと、そして旅して感じたことを書いておいた方がいいと思い、この記事を入れました。
多くの皆さんが定年後や、仕事から解放されたら海外を歩きたい、スイス山歩きをしたいという方もいらっしゃると思います。私もその一人です。健康であるうちは毎年ヨーロッパアルプスの山歩きをしたいと思っていました。前回は2019年の夏、その翌年に新型コロナの出現。以来2度見送りました。人生には何があるかわかりませんが、番狂わせとなりました。同時に自分自身のAGINGが進みます。まだ先のある世代の方なら見送って感染が終息した段階で行けばいい、そんな方には「時間」も「機会」もあります。ツアーという選択肢もありますが、やはり自分でデザインした旅がしたいです。まだ「時間」も「機会」はあるかもしれないが、「山歩き」ということを考えるとそのリミットは刻々と狭まっていくのが現実で、「来年はない」かもしれません。新型コロナが終息するのは2025年というトンデモナイ説もある。
コロナで自分の人生を台無しにされる訳にはいかない。といってコロナに対峙するつもりはないが、自分のしたいこと、楽しみたいことをよりリスクを低減して行う方策をポジティブに考えることにしました。 昨年秋の北海道旅行は今回の海外旅行へのトライアルでした。待っても仕方がないし、意味がありません。
*レマン湖畔ラボー世界遺産地区
客観的に見ると、現在の状況下での海外旅行は逆風下です。新型コロナ感染リスクだけでなく、ウクライナ紛争に起因した物価燃料の高騰、政府日銀の円安放置もあり海外旅行はバカ高。ましてや欧州への渡航は従来よりも3~4時間ほど余分に時間がかかり、航空機搭乗はとてもしんどいです。そして帰国前の現地でのPCR検査。海外ツアーがほとんど催行されていないのはこの検査要件があるようです。一人でも陽性者がでたら、まわりは濃厚接触者となってしまいます。添乗員の方もPCR検査手配、MySOSアプリの面倒まで見切れないのが現実でしょう。
新型コロナ感染は人を介して感染する訳であり、人との接触を最小限にすればリスクは減ります。
私が感染対策のポイントとしたことは以下の項目です:
1)長時間の国際線搭乗:これは一番気掛かりで最も腐心しました。下記に別掲します。
2)現地での移動:基本的に公共交通機関は使用せず、ほとんどレンタカーで移動したので不安感はなかったです。乗り合いのロープウェイ・ゴンドラではマスク着用を徹底。帰国時のチューリッヒ市内の移動の電車も同様です。
3)現地での宿泊先:一般客が混在するホテルではなく、貸切のキッチン付きアパートに滞在し外食は避けました。食事をどうしたのか、旅の記事のなかで述べたいと思います。
4)渡航規制による旅行キャンセルや万が一のコロナ罹患時の備えとして、コロナ対応・特約付きの海外旅行保険に加入。現地で日本語サポート、医療機関の紹介もしてくれます。クレジットカード付帯の保険では費用も含めカバー出来なくなると思いますので、保険加入がお奨めです。
*7月上旬のツェルマット市内
5)スイスでは行動規制・感染対策が撤廃:この状況をどうとらえて対処するかということです。現地のフリーな雰囲気に飲み込まれないことだと思います。マスク着用、密は避ける、人との距離を保持、手洗い・うがいといった従来履行してきた基本の対策を堅持しました。とくに「危うきに近寄らず」、外食は一度もしませんでした。スイスのお店ではシールド板、アルコールもなし、店員さんを含めマスクを着けている方はほとんどいません。マスクを外す外食はリスクがあると判断しました。山歩き時、アウトドアでは人が近くにいない場所ではマスク外して行動しました。
スイスではマスク着用を含む行動制限と義務はすべて撤廃されていますが、統計ではスイス国民10人のうち4人は感染履歴があり(日本は10人のうち1人)、感染者数も7月中旬で一日約8千人、スイス総人口の約0.1%とほぼ東京並。隔離義務も一切ないという状況で、罹っても検査をしてない方が多く潜在すると聞きます。真夏なのに市中では咳をしている方が多い、酷い咳でもNOマスクです。日本以上に感染リスクは高いと感じました。感染対策の「さじ加減」はとても難しいですが、マスク着用、手洗い・うがい、密は避けて人との距離をとれば感染リスクは低いと思います。
重要なのは、現地でのマスクなし、フリーな雰囲気に飲み込まれないこと。旅行者の中でも一部の方はマスクを着用されています。日本人旅行者と思われる方の多くはマスク着用、韓国人の方の着用率も高いです。とにかく日本での行動様式を堅持することだと思います。現地の方と同じ行動様式を楽しみたい方、まわりに迎合しないと居ずらく感ずる方や、近所の視線・・云々と気にされる方もいらっしゃると思いますが、
決めるのは周りでなくご当人の判断です。そして国内であれ海外であれ各自ひとりひとりの意思、価値判断、行動です。
*チューリッヒ~ドバイ間:A380の2階席
国際線での長時間搭乗での感染リスク:ある意味ではとても云い憚ることですが、敢えて書きます。他国籍を含む乗客と隣り合わせで機内食や飲み物をとる機会も必然です。乗客の中にはしっかりマスクを着用しない方、喧騒・多弁な方と隣り合わせになる可能性もあります。隣席に座る方がどんな方かわかりませんし、他人です。航空需要は増えていますが運航便が間引きされた分、定員乗車率(混み具合)は上がっているようです。新型コロナに関わらず長時間肩・肘を接して座り続けるのは苦痛ですし、機内食・飲食時では隣の方と同じ空気を吸うわけです。航空機内では3分間で99%換気されるとのことですが、国内線は長くて2時間半程度に比し、欧州への直行便搭乗なら16時間近くに及びます。本音で云うと混んだ座席やまわりでの予期しえない状況、自分でコントロール出来ない状況、これがとっても不安でした。いろいろと調べて検討した結果、中東経由のエミレーツ航空・ビジネスクラスにしました。ちょっと贅沢ですが、過去2年出かけられなかったこともあります。同社のビジネスクラスのシート配列を見ると他席との距離感・隔離感があり安心感があります、しかもビジネスクラス割引運賃(Business Saver)は超お得でした。A380を115機・B777を120機ほど保有する大手航空会社で、サービスの良さでも上位にランクされています。ウエッブや動画でシートレイアウトを確認し、これなら安心して搭乗出来そうと家内も支持してくれました。ビジネスクラス割引運賃(Business Saver)でもコロナ特例で8月末までなら、日程変更と払い戻しは可能ということでしたので3月初旬に2名分の航空券を購入。航空運賃もサーチャージも高騰前で超破格の料金でした。搭乗してみて座席の隔離感・安心感も期待通りで不安は払しょくされました。ご夫婦ならば2席のプレミアムエコノミー席がいい選択肢かもしれません。たまたまツェルマットで私たちより一日早い便で同じルートで来られた壮年の日本人ご夫婦とはお話しする機会がありました。エコノミークラスは満席で・・・・ということを伺いました。私どもはビジネスで、とても複雑なおもいに駆られました。
*チューリッヒ空港内CHECKPORT(PCR検査機関)
MySOSアプリ、ワクチン接種証明アプリは出発前に入れて予行演習をしておいた方がお薦めです。自分は絶対に罹らないと信じた行動・対策でも、アクシデント的に感染することはあります。PCR検査が陽性だったらどうしよう、MySOSアプリの審査が黄色から青に変らなかったらどうしよう、という不安もあります。「帰国時の迅速な検疫手続き」への代償は、余りにも割の合わない厄介なアプリ(システム)です。誰のためのシステムなのか?
帰国前現地PCR検査で陽性になると、搭乗は拒否されてPCR検査が陰性になるまで帰国できなくなります。「回復証明」であれば5日から1週間程度で帰国できますが、スイス在日本大使館は陰性証明での搭乗としていますので最低1週間~2週間ほど帰国が伸びることになります。メンタル面での負荷だけでなく金銭面での負担も少なくありません。日付変更可能な航空券を持ってない多くのツーリストは新規に予約・購入することになります、直前購入のチケットは相当に高いです。治療費・滞在費も自費となる。コロナ治療費は超高額です。このようなことをすべて理解・認識した上での旅行となります。ということもあり、それなりの旅行に対する自分の意思と覚悟、備えをしておくことが肝要と思われます。概して云えば「不要・不急」でなければ、見送られた方が賢明だと思います。備えをすれば、山歩きや美術館巡りといった閑静な過ごし方、またどうしてもやっておきたいことが在る方は個人旅行であれば、出かけてもいいんじゃないかとも私的には思います。私の場合?・・・自分のモチベーションを優先しました。主観的ですが。(苦笑)

*今回のレンタカー、コンパクトの部類ですがミドルサイズのSUVのような感じ。
今回の旅で経験して感じたことは、現状の旅行者への検疫施策はメンタルだけでなく、金銭的にも大きな負荷を旅行者に与えることになります。現地出発前72時間以内のPCR検査証明で陽性の場合でも、航空機内でゾーニングをして予定通り帰国させ国内待機させるべきではないでしょうか。国内では感染爆発で再び「目詰まり、ほったらかし状態」で、海外旅行者には検査を海外で押し付けるというアンバランス。検査費用も@CHF149Ⅹ2名で4万円以上と高額です。特約付き海外旅行保険料も含めると夫婦二人で7万円以上の負担になります。現地検査のために余分な日数を予備日として空けておかねばなりません、無駄な時間とコストが更に加わります。GO TO で援助してくれなんて云いません、例えば、ワクチン3回目接種した方へは日本出国時に抗原検査キットを提供してMySOSで検疫チェック、但し帰国後2日間は自主隔離といった段階的な緩和策を厚労省は検討すべきではないでしょうか。同時に、国内外旅行者へは個人の行動や振舞いに関するきちんとしたメッセージを出す、このことの方が重要に感じます。(この項、一部訂正しました。)
*ツェルマットのアパート
もう一つのネガティブな要素は円安。政府日銀の対応には本当に困ったもんです。これは日本国民の資産が国際的に目減りすることです。ドル資産を半分くらい保有されている資産家ならともかく、ほとんどの日本国民の資産は減っていきます。輸入品は値上がり、海外旅行では円ベースでの出費は大幅に増えます。私は航空券とレンタカー代は3月にクレジットカードで決済しましたが、それ以外の宿泊を含む滞在費は全てスイスフランでデビットカード決済しました。キャッシングもデビットカードで引き出しました。デビット元はネット銀行のスイスフラン口座です。円安進行前にスイスフランに変えておけば良かったのですが出遅れ。それでも平均132円なので良しとすべきでしょう。こんな円安では海外旅行需要も復活しないと感じます。また、一部にはこんな時期に出かけるなんて・・云々というネガティブなオピニオンもあります。以前にも言及しましたが、旅行や移動が悪ではなく、本筋は個人一人ひとりの感染対策と行動です。
いろんな難行やハードルがありますが、それを越えるものが得られるという想いと確信をもって出かけました。そして、私たちが得たものは素晴らしい時間、日常からの脱却でした。
長々となってしまいましたが、拝見戴き誠にありがとうございました。
この記事へのコメント
自由に行動されてるのが不思議ですね。
日本人は基本的に店も個人も気を付けているのに感染が広がるのも謎です。
私も健康寿命を考えて早期リタイヤしたので時間を無駄にしたくありません。来年は海外飛ぼうと考えてます。
momotaro さん、今年見送っても、自分のエージングだけは進む。来年になって状況が劇的に変わる見込みもなさそう。どうしたら出来るか、切り抜けられるか そう考えて向き合いたいです。がんばりましょう!
tochimochi さん、出かける時は低レベル?だったんですが、それでもコロナ禍、「世間体」に躊躇しないというのはあり得ません。(苦笑)コロナは終息にはあと数年はかかるでしょうし、その前に「慣れとあきらめ」が先行して動き出すでしょう。円安の悪影響をスゴク感じました、●●ミクスの負の遺産です。一番困るのは輸入物価が上がり疲弊することです。大いに楽しめたことが救いです。
ファルコ84さん、英断でもないし、後悔?とは!!ある意味では当たり前の行動だと思います。それでもアクシデント的に感染したら、叩かれます!!! 棘もあり。
kuwachan さん、今の状況では、旅行者の負担はメンタル面を含めて重いです。仰る通り余裕をもたないと、厳しいのが実態です。コロナとウクライナはどの地域に影響していますが、酷いのは円安、日本だけが取り残されます。このままでは海外旅行は高嶺の花になりかねないと危惧します。
それから日頃の緻密な警戒心、注意力が結果オーライに繋がったのでしょうね〓
そうですよね
2年も我慢したんだから
私たちが自由に動ける時間を無駄にしたくないし
私も来年は、絶対に行こうっと!
コロナ下の周到な準備はさすがに緻密なJetさんです。このところのBA5の爆発的な感染には帰ってきてびっくりされたことでしょう。
さらに旅行中に円安も随分と進んでいます。日銀の頑なな姿勢にはうんざりしています。
様々な思い出を作られての帰国と思います。次回の旅行記を楽しみにしています。
それでも、スイスの自然の中をレンタカーで"歩きまわる”魅力には勝るものはないと思いました。様々なハードルを無事乗り越え、楽しんで来られたことの一部でも見せてください。楽しみはこれから
、・・・・・かな。
人がなんと言おうと、後悔しないこと、
でも、スイス旅行とは英断しましたね!いいことです。
ツエルマットの写真で思い出した~ 客より先に窓際の良い場所で飯を食ってた憎っくき添乗員め・・・今となっては、ま、良いか
時間と資金に余裕がないとハードルが高いと感じました。
何度繰り返しているんじゃい!(笑)
そんなに時間が余っているわけじゃないのですよ〜(^^;;
コロナ終息後まで健康でいないと!
日本からの渡航者が禁止になるかもですね。