23回も日帰り登山した雲取山 - 回想記
私にとってもっとも馴染みのある山は、やはり23回と、一番多く登ったことがある雲取山です。今回の記事は回想記です。(飛ばし読みして、年明けに登ってきたと早とちりされないでくださいね。)
*山頂避難小屋からの秀麗富士、14回目 2014年2月
山梨と埼玉、2つの県境にある標高2,017Mの東京都の最高峰、そして百名山の一座です。
天皇陛下が皇太子時代プリンス雅子様と登山されているのをニュースで見ました。その時に雲取山という名前を初めて知りました、1995年です。くもとりやま・・・むかしの物語に出てくるような面白い名前の山だなと思いました。因みに、天皇陛下は3度雲取山に登られています。
また近年では平将門の迷走伝説もクローズアップされ、鬼滅の刃の聖地としても話題になった山域です。
後年になって山登りを再開、まず登ってみたい山のひとつが東京の最高峰・百名山でもある雲取山でした。調べてみると、一番近いルートでも往復距離22KM、標準コースタイムは8~9時間、標高差約1,300M、累積標高差は1.500~1,600M と大きい。一般的には小屋1泊2日行程が推奨される難関の山。ましてや、日帰りを目指すには決して楽に登れる山ではありません。
心の奥に秘めていた日本百名山制覇の夢、それを目指すなら、これくらいのレベルは日帰り登山でクリアしなければ達成は難しい。普段からトレーニングして強靭な体力、脚力をもっているならともかく、長年不摂生な生活を過ごしてきたサラリーマン上がりで、軟弱なシニアハイカーでした。どうしたら雲取山を日帰り出来るかと詮索し(笑)プランを立てました。
2010年4月、天気予報を確認して小袖登山口からチャレンジ、無事日帰り登山が出来ました。それ以来、山歩きのベンチマークが雲取山になりました。雲取山日帰り登山が出来るなら、日本百名山のうち65座~70座はかならず登れると思います。という事で毎年雲取山に通いました。12年間で23回登ったことになります。その間途中で撤退したこともあります。
*積雪の小雲取山からの奥秩父主稜線 12回目 2014年3月
同じ山をよく23回も飽きずに登ると失笑を買うかもしれません。きつくてもう登りたくないという山もありますが、それを感じさせない山でまた登りたくなる、もっとも馴染みのある山が雲取山です。下に23回の雲取山山行記事を表にまとめてみました。日本百名山の全座登頂記録もサイドバーのリンク集に貼ってあります。
23回目が最後の雲取山山行となっています。下山時に極端に疲労困憊し、息絶え絶えで登山口に戻りました。この時体力的な限界を悟りました。コロナ禍下で登山の機会が大幅に減ったこともあったでしょうが、心肺機能の低下を自覚、雲取山を日帰りするのは厳しいしリスクがあると判断し、以来山歩きのスタイルも変えました。日帰りはもう無理ですが、小屋泊の行程ならまだ登れるかもしれません。機会を失しないうちにもう一度登ってみたいです。或いは七ツ石山あたりからでも間近に眺めれたらと思っています。
各山行記事はクリックして戴くと、別の画面タブで立ち上がる様設定してあります。
10年ほど前の私のブログでの記事ランキングは:
御覧の通り、雲取山1回目の山行記事がトップでした。当時、Googleで「雲取山 日帰り」と検索すると私の記事が最初のページに出てきました。知名度は高くないですが、人気の山で深緑の初夏、紅葉の秋の週末は小袖駐車場はオーバーフロー、ブナ坂では登山者が列をなして登っている光景もみかけます。鴨沢・小袖からのコースが最も人気があり、日帰り出来るのもこのコースだけです。
雲取山へのアクセスは、他にも丹波山・三条の湯、秩父・三峯神社、日原からの登山コースがありますが、よほど健脚でない限り日帰り出来るのは小袖登山口からだけだと思います。
宿泊できる山小屋は山頂から三峰側への急坂を20分程下ったところに雲取山荘があります。一度だけ雲取山荘で雲取山のバッジとミネラルウォーターを買いに立寄りました。あとは七ツ石小屋、小屋前からの富士山の眺めが癒してくれます。山頂の避難小屋は水場もなく、避難小屋なのでお奨めはしません。石尾根に以前テント場が併設された奥多摩小屋がありましたが、今は撤収されています。
積雪時以外は年間を通して登山できる小袖コースですが、晩秋~初春までが比較的閑静なので、私もその時期の登山が多かったです。積雪時も冬のウエア、アイゼンがあれば登れる山ですが、未経験の方には厳しいと思います。
雲取山を日帰りするなら、やはり小袖登山口を朝早出すること、遅くとも7時以前に出発してください。5時を過ぎると登山者が出発はじめます。
シーズンの週末や休日は、小袖駐車場(丹波山村営)は明け方までに満車になることが多いです。私も週末がかかる場合は前夜に駐車場に入って車中泊したことが幾度かあります。これが登山前の難関でもあります。駐車場には水洗トイレが設置されています。
*16回目 2016年7月 登り尾根
雲取山の小袖ルートは堂所まで、樹林帯に囲まれた長い緩斜面の単調な上りが続きます。樹林帯で閉そく感があり、特に下りは疲弊した身には長いです。小袖から堂所まで車で通行できる林道があれば・・と邪悪な妄想も浮かびます。(笑) 堂所が登山口なら最高なんですが・・
堂所から急坂になり七ツ石下までキツい登りが続く最初の難所ですが、ここからが山登りで雲取山の魅力の核心です。
七ツ石下から尾根の西側の巻道は七ツ石小屋を経由する上段の道と下段の道があります。往路はほとんど下段の道を登りました。痩せて切れた箇所もありますが、大菩薩連嶺、富士山、奥秩父主脈の山々が視界に入り奥深さを感じさせます。私見ですが、下段の道の方が展望もよく若干緩やかなように感じます。往路は七ツ石山山頂を登って消耗しないことがポイント、往きは巻道で!
*16回目 2016年7月 小雲取山から
ブナ坂から石尾根を登っていきますが、尾根の西側に展望が広がり南アルプスの峰々が見れます。ヘリポート~奥多摩小屋跡のあとは小雲取山への急坂、ここが一番の難所かもしれません。小雲取山を過ぎれば山頂はもうすぐ(上の写真)、避難小屋直下の坂を登れば雲取山です。
山頂避難小屋前からの石尾根の眺め(上の写真)が素晴らしく、気に入っています。山頂は避難小屋の裏手にありますが、飛竜、和名倉山、甲武信ヶ岳などの奥秩父の山も見れます。南アルプス、大菩薩連嶺、富士山、奥多摩、丹沢まで大パノラマ。山頂ではいつも1時間程長居を楽しみました。
復路はブナ坂までの下りはいつも快適に感じます。ブナ坂から七ツ石下までの痩せた巻道は注意して下ってください。下りは上段の七ツ石小屋経由の道がほんの少し早いかも?しれません。
堂所まで戻るとあとは単調な下りが延々と続きますが、疲労が蓄積してきます。ところどころ谷側に切れた箇所もあり侮るなかれ、急いで下ってバランスを崩したり躓いたりしたら滑落することもあり。日照時間の短い秋~春は、15時過ぎると暗くなります。15時半くらいまでには小袖登山口に戻る様お奨めします。
雲取山でも遭難・事故のほとんどは下山時です。
小袖コースは岩場、ハシゴや鎖場もなくテクニカルな箇所、迷うようなところはありませんが、要求されるのは体力、注意力そして忍耐力かもしれません。あとはお天気、必ず晴れの日(少なくとも雨天でない日)に登りましょう。
決して楽な山ではありませんが、巻道からブナ坂、石尾根からの素晴らしい眺望と歩きが楽しめる、登り甲斐のある山です。
前述したように、ここを日帰りで登れれば、百名山の65から70座は必ず登れるはず。百名山でもコース上に山小屋のない山で日帰り以外選択肢がない山は、利尻山、トムラウシ、平ヶ岳、皇海山(庚申山荘から)くらいです。いづれも、雲取山よりもずっと厳しい山です。
雲取山は不動で同じですが、毎回季節、天候やコンディションにより風景・様相が変わり、歩きも変わってきます。いま振り返ると、その時々の記憶が蘇ってきます。
雲取山へ日帰り登山される方への参考:22回目の山行記録です。
GPSログに基づきヤマレコのサイトで表示されたデータです。この時のタイムは標準(上り:4:45、3:15:15)に近いと思いますが、比較的快調な歩きが出来た時です。最新のコースタイムは各自で山地図等から把握されるようお願いいたします。
お時間があり、興味のある方は各山行記事を覗いてみて下さい。
この記事へのコメント
おと さん、東京にある山ですが、あまり知られていません。プリンスが3回も登った山ですが、私と同じ様に共感する山だったんでしょう。日帰りは難しいけど、また登ってみたい、でももう夢ですね。
素晴らしい記録ですね。
よく聞く雲取山ですが私はまだ登ったことがありません。
いつか挑戦する際は参考にさせていただきます。
行く度に、新しい発見があったり、季節やその日の天候によって、景色も変わりますものね。かなり難しそうだし、達成感が大きいことも、何度も行きたくなるポイントでしょうか。お気に入りの山があるって、いいなぁ。
ブー太の父さん、雌阿寒岳はいい山ですね。温泉口から登ってオンネトーへ下りました。谷川岳も一般道なら登れますが、小宅からは遠いですが3度ほどのぼりました。名山はいいですね。
記事画面からリンク集を呼び出すことができました。
とりあえずこれで使ってみようと思います。
百名山ではこの山が一番登山回数が多いのですか?
私の兄も百名山に登っていますが谷川岳が一番多いそうです。
私はあちこち行ってませんが雌阿寒岳の12度が一番多いです。
tochimochi さん、 ロングコースで累積標高差が1,600Mくらいなので、やはりタフなやまですね。でもその見返りは十分あり、楽しめる山です。山頂は無理にせよ、近くの山からでも見てみたいです。
shiho さん、NICE! いつもありがとう。
それだけ魅力がある山なのでしょうね。
私の職場の同僚も35歳(現在52歳)から登山を始めて、百名山制覇を目指しています。
ここ数年は夏休みを利用して北海道制覇を目指しているとか…
現在は80座になったそうで、記念の100座目は槍ヶ岳と決めているそうです。
私は登山はほとんどしません(近くの低山のみ)が、話や写真を見せてもらうのがとても楽しみになっています^^
で更新情報が見れることを確認しました。
> ⇒ 私はこのページへのリンクを記事画面サイドバーのボックスにリンクを貼りました。
これは記事画面で直接更新情報にリンクさせてるのだと思いますが、リンクの貼り方を教えていただけないでしょうか。
宜しくお願いします。
私も近場の山は度々登ってますが、これほどロングではなかなか足が向きません^;
四季を通じて登るといろいろな発見も有りますね。
高峰ですから展望も楽しめていい山と思います。
テリーさん、麓から山頂まで長すぎます。(笑) スイスのように、中腹までリフトかロープウェイで運んでくれればいいですね。あるいは林道で。
勝手なイメージを持ちましたが山梨と埼玉の県境なのですね。初めて聞きました。
12年間で23回は凄いです!
それだけ魅力があるのですね。
ぜひ、また登ってほしいです^^
一時期は山ガール目指していた私ですが、それも遠い昔になりました^^;
凄いですね。
それだけ、この山が修練の為の面白いコースであったということでしょうかね。
私も3~4回は登った丹沢の塔ヶ岳(+丹沢山)も似たようなところがありそうです。富士山、湘南の海の眺めにハマりやすいかも。えすぷれそさんのパワーと脚力あれば、難なく日帰りクリアできると察します。
Inatimy さん、 山ではいろんな景色に出会います。何気なく遭遇した風景でも、画像に残した写真にハットさせられます。季節や天気で思わぬ変化が楽しみですね。
めぎ さん、 緑の山も冬には一変、雪が山を引き立てます。四季の彩もいいですね。
ファルコ84 さん、 最初の尾根は樹林帯です、霞んだ杉樹林が林立し神秘感があります。物語や伝説に出てきそうですね。
この樹林帯は長いですが、ここを過ぎると展望が広がります。
この辺りは東京都水道局の水源で奥多摩湖に注いでいます。
nousagi さん、 最後は3年前でした。雲取山を日帰り出来れば大半の山はクリアできます。富士山のトレーニングという方もたまにいますね。
登り甲斐のある山ですが、登山口までは車で2時間と意外に長いです。丹波山村営駐車場には車中泊したこともあり、随分お世話になりました。
日帰りは到底出来ない山になりましたが、23回も登れてとっても幸せだと思います。
OJJ さん、 いつも拙い記事ですが、大兄に拝見戴きありがとうございます。いろんな山がありますが、感動させられるのは名山ですね、雲取山も。最近は百低山ぶーむ?ですが、登山層も高齢化しているんでしょう。今の天皇陛下、昔の皇太子の歩かれた「プリンスロード」はどこもよく整備されたますね、「宮内庁ご用達の道」ですね。
imarin さん、 塔ヶ岳もいいですね。私はかつても戸沢からショートカットで2度ほどのぼりましたが、他のヤビツや大蔵からも長いですね。雲取と比べて、どっちこっちかもしれませんが、距離は雲取山が長いような気がします。
雲取山荘に泊まられてもいいし、写真撮影なら山頂避難小屋でビバークされたら。富士山も見れます。
kuwachan さん、東京出身の方は皆さんご存知ですね。雲取山の名前を知ったのは30年前です。
当時の皇太子が東京の百名山を登られているのかと、ニュースでしりましたが、この様に深く関わる山になるとは思いもしなかったです。アクセスの良さもありますが、季節を問わず登れる山でいっぱいの想い出をくれました。本当に感謝です。
Drumusuko さん、 今年で達成から10年目に入ります。どちらかと云えば軟弱な私でしたが、仲間や読者の皆様の後押しでなんとか達成出来ました。また達成へのベンチマークの山が雲取山でした。同じ山でも登るごとに表情を変えて楽しませて戴きました、また試練を与えてくれた山です。想い出が詰まった山です。
teppan さん、 ぜひ一度は登ってみて下さい、天気のいい日に。 小屋どまりなら秋に秩父側の三峰神社からも一泊されるのも素晴らしいと思います。縦走がいいんですが、クルマの回収を考えるとなかなか難しい行程になります。小袖からなら私の記事が参考になれば幸いです。
トモミ さん、山頂は東京都の県境ですが、登山口は青梅街道で県境の小袖川を渡れば丹波山村・鴨沢登山口バスがあります。三頭山や大菩薩へ抜ける奥多摩ドライブは楽しいですね。
てんてん さん、 ブックマークありがとうございました。
JUNKO さん、 この雲取山はトレーニングとベンチマークの山でした。このおかげで北海道の名山も登れたと思います。トムラウシ、ポロシリ、十勝、利尻と苦戦しましたが・・・
いっぷく さん、 コメント戴きた通りです。 同じ山を季節を代えて登るといろんな表情が見えます。ここだけは地図がなくとも登れます。私の百名山へのチャレンジを支えてくれた山で、感謝で一杯です。
自分も雲取山いつか行こうと思っているのですが、アクセスが面倒で、ついつい”何度も行ってる”丹沢に足が向いてしまいます。
素敵な光景ですね^^。
登るたびに、魅了されるポイントが見つかりそうな。
山登りの好きな人が、なせる業ですね。
真っすぐ伸びた霧の中の杉の木?凛として見えます。
23回になるんですね。
確かにここを日帰りすることができれば
登れる山の範囲も広がりますね。
何度登っても魅力のある山でもありますし。
私は、やっとのことで、1回だけ日帰りしましたが
富士山日帰りの予行練習のつもりでした。
自分に自信をつけるためにも、無理かなと思いつつ
挑戦することは大事ではありますね。
陛下も3回とは中々気合が入って・・
我が家からアクセスしやすいのだけど。
たまに登る塔ノ岳と比べてどうでしょう^^;
その存在を知り、覚えました。
Jetstreamさんが23回も登られた雲取山は、季節によって色々な表情を見せてくれ、
魅力がいっぱい詰まっている山ということが伝わってきました。
この雲取山も長い工程ですが、それ以上の魅力があるのでしょうね♪。
登っている時は辛いのに時間をおくとまた歩きたくなる、そういう山って確かにありますね
東京都最高峰の雲取山 一度頂上に立ってみたい山のひとつです、仲間内で登ろう(小屋泊まりで)という話があるので、その際には参考にさせていただきますね
雲取山のように、同じ山を繰り返し登ることで見えてくる変化や気づきについても、非常に興味をそそられました。